INSIGHTS
法律情報
2022.07.28

建業法律事務所ニューズレター第59号『ゲームセンター管理条例(「電子遊戯場業管理条例」)第17条第1項第6号及び第31条における営業停止処分の適法性』

作者

 

張祐誠


壱、はじめに

一、警察があるゲームセンターで捜索を行った際、その現場で当該ゲームセンターの従業員が来客と賭博行為をしているところを発見し、ポイントカードやゲーム機器などの賭博用具を差し押さえました。警察は取調完了後、当該ゲームセンターにおいて賭博用ゲーム機器が設置され、賭博に関与する行為があったことを地方主管庁に報告しました。これを受けて地方主管庁は調査を行い、当該ゲームセンターにおいて確かに賭博行為があったものと認定して、ゲームセンター管理条例(原文:「電子遊戯場業管理条例」)第17条第1項第6号(「ゲームセンターを経営する者は、次の事項を遵守しなければならない。…六、賭博、風俗壊乱その他犯罪に関与する行為があってはならない。」)及び第31条(「第十七条第一項第六号の規定に違反した者に対しては、直轄市、県(市)主管庁は営業停止を命じなければならず、かつ判決が確定するまで、その会社又は商店の名称及び代表者又は責任者の変更登記申請の受理を一時停止しなければならない。裁判所において有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する。」)等の規定により、営業停止を命じる行政処分を行いました。当該ゲームセンターの責任者は地方主管庁の行った前記の営業停止処分に不服があり、訴願及び訴訟を提起しました。

二、本件に関係する条文はゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条であり、主な争点は、「営業停止処分は起訴又は判決を経ることが要件であるか」及び「営業停止処分は責任者による賭博行為への関与が要件であるか」にあります。そこで、これらの点に関連する実務上の見解を整理し、本件に関係する条文と主要な争点につき、次の通り分析します。


貳、営業停止処分は、起訴又は判決を経ることが要件であるか

一、最高行政裁判所2012年度裁字第2140号民事決定は、「営業停止を命じる処分は、違法行為の再犯を防止し、行政秩序を規律する目的を図るためのものであり、かつ賭博行為によって得られる不正な利益は莫大であると同時に社会の安寧に影響を及ぼすことから、地方主管庁が関連の証拠に基づき、論理則及び経験則により賭博に関与した事実が具体的で明確であると認めるに足りるとしたうえで、ゲームセンター管理条例第17条第l項第6号及び第31条の規定により、その権限・責任に基づいて判断を行い、原処分をもって業者に対し裁判所の判決が確定する時まで直ちに営業を停止するよう命じたことは、違法であるとは認め難い。また、業者がゲームセンターを経営するなかで賭博の犯罪行為に関与したことは客観的に明白であると認めるに足りるため、行政手続法第103条第5号の規定により、行政機関が処分を受ける業者に意見陳述の機会を与えないで処分を決定したことは、行政手続法の規定に反するとは認め難い。」としています。

二、次に、最高行政裁判所2013年度判字第819号民事判決は、「地方主管庁は、ゲームセンターが賭博等の犯罪行為に関与したことを調査により発見したときは、ゲームセンター管理条例第31条前段の規定により営業停止を命じるべきであるため、もとより刑事上の有罪判決の確定を要件としない。しかしながら、地方主管庁は行政調査手続により十分な証拠を把握して、ゲームセンターの代表者や被用者等において前記の犯罪事実があるのを確認したことを前提としなければならず、単に検察官の起訴状においてそれら犯罪の疑いがあるということのみをもって、直ちに前記営業停止の要件に該当するものと認めてはならない。」としています。

三、このように、ゲームセンター管理条例第31条の規定により、地方主管庁は、業者が同条例第17条第1項第6号の規定に違反して賭博行為に関与したか否かについて、関連の証拠資料に基づいて、職権で認定を行うことができます。そして具体的な証拠によりゲームセンターにおいて賭博に関与する行為があったと認めるに足りれば、同条例の規定に基づいて処罰することができ、これにより違法行為の再犯防止や規律等の目的が図られます。検察官による起訴又は裁判所の判決があったかどうかとは無関係であると言えます。そして、上記の「具体的な証拠」とは、警察の刑事案件報告書に添付される現場写真、関係者の調書、警察の捜査経過報告、捜索・差押調書、差押リスト等の証拠資料のことを指しています。この点を説明する裁判資料として高雄高等行政裁判所2004年度訴字第299号民事判決が挙げられますが、同判決は、「本件被告については、警察の刑事案件報告書に添付された現場写真、関係者の調書、警察の捜査経過報告、捜索・差押調書、差押リスト等の具体的な証拠に基づいて、職権で原告が経営していたゲームセンターにおいて賭博に関与する行為があったものと認定し、前記条例の規定により直ちに処罰をすることは相当である。被告は原告に嫌疑がかかっている『賭博罪』の刑事責任につき検察官が起訴し、又は裁判所の刑事判決が確定してから、はじめて処分をすることができるとする原告の主張には、誤解があるというべきである。」としています。


参、営業停止処分は、責任者による賭博行為への関与が要件であるか

一、最高行政裁判所2019年度裁字第639号の決定は、「ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条後段の事後的規制は、賭博罪等の犯罪行為に関与し、又は裁判所で有罪判決が確定した者が責任者本人であることを要件としてはいない。責任者として登記されている者が、賭博等の犯罪行為に実際に関与していなくとも、その名義で登記されているゲームセンターが賭博等の犯罪行為に関与したと認めるに足りる具体的な証拠があれば、主管庁はやはりそのゲームセンターの営業種類別許可証及び商業登記を廃止しなければならない。この点からして、これらの罰則規定における処罰対象者は責任者に限られ、責任者による違法行為があってはじめて適用があり、従業員にまで及ぶものと解すべきではないとする上告人の主張は、明らかに誤解があるというべきである。」としています。

二、次に、最高行政裁判所2011年度判字第1743号判決は、「管理条例第31条第1項後段における、『裁判所で有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する』との規定、司法院釈字第646号解釈理由書及び管理条例の立法趣旨によれば、次のことは明らかである。即ち、管理条例第31条は、主管庁は責任者に営業停止を命じ、かつ判決が確定するまで、その会社又は商店の名称及び代表者又は責任者の変更登記申請の受理を停止しなければならず、裁判所で有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止すべきことを明確に定めており、賭博罪等の犯罪行為に関与し、又は裁判所で有罪判決が確定した者が責任者本人であることを要件としてはいない。責任者として登記された者が実際に賭博等の犯罪行為に関与していなかったとしても、その名義で登記されているゲームセンターが賭博等の犯罪行為に関与したと認めるに足りれば、主管庁はやはりその営業停止を命じなければならない。このように解することによってはじめて、管理条例第17条によるゲームセンターに対する事後的規制を徹底できるものというべきである。また、管理条例第31条における『営業停止を命じる』規定は、ゲームセンター営業開始後の違法行為に対して講じる事後的規制措置であり(当裁判所2009年4月第1回法廷長裁判官合同会議における甲説の理由参照)、現行の違法行為を排除し、かつ将来における違法行為の再発を防止するものであって、その性質からすれば、行政法上の義務に違反した過去の行為に対する非難や責任追及の処罰ではないため、行政罰法上の故意又は過失を責任要件とはせず、責任者として登記された者がそのゲームセンターにおいて発生した賭博罪等の犯罪行為について故意又は過失があったか否かにかかわらず、均しく営業停止を命じなければならない。以上のことはすべて原審で詳細に論述されており、相当である。」としています。

三、また、最高行政裁判所2020年度上字第904号判決は、「係争の管理条例における規制対象者はゲームセンターであり、当該条例第31条の、『営業停止を命じる』、『そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する』とする定めは、ゲームセンターの営業開始後の違法行為に対する事後的規制であり、現在の違法状態を除去し、かつ将来の違法行為の再発を防止する規制的不利益処分であって、行政法上の義務に違反した過去の行為に対して非難する行政罰ではないため、被処分者の違法性と有責性を要件としない。営業種類別許可証に登記された責任者は、会社の代表者であるか商店の責任者であるかを問わず、ゲームセンターを経営する地位と管理統制力に基づき、現在の違法状態を排除し、かつ将来の違法行為の再発を防止する義務を負わなければならず、責任者本人が賭博、風俗壊乱等の違法行為に関与したか裁判所で有罪判決が確定したかを要件としないし、責任者の指揮監督において故意・過失があったか否かとは無関係である。このことから、ゲームセンターが係争の管理条例第17条第1項第6号に定める賭博、風俗壊乱等の犯罪行為に関与したときは、主管庁はその責任者に営業停止を命じなければならず、裁判所の判決で有罪となった場合には、その営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止しなければならない。」としています。

四、従って、ゲームセンターにおいて賭博行為への関与があったときは、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条の規定の適用があることから、地方主管庁はこれにより営業停止、営業種類別許可証の廃止及び商業登記の廃止等の処分を行うことができ、責任者が実際に関与したか、又は故意・過失があったか否かは問われません。言い換えれば、賭博行為に関与した者が責任者ではなく、関係従業者又は従業員であったとしても、やはりゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条の規定が適用されます。

五、さらに、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条に定める規制措置は、法律の文理、立法目的、体系的解釈のいずれから見ても、賭博罪等の犯罪行為に関与した者が責任者本人であることを要件としないというべきであると考えます。そこで、この点について次の通り説明します。


(一)ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号が明文で定める「ゲームセンターを経営する者」として遵守すべき事項には、「賭博の犯罪行為に関与してはならない」ことが含まれています。この点から、当該条文の文理解釈として、当該条項の規制対象者がゲームセンターの責任者に限られるわけではないことが明確にわかります。

(二)次に、ゲームセンター管理条例第1条の立法理由は、「現代における個人の主要なレジャー・娯楽手段としての遊技場については、その営業が関係しうる産業構造、経済利益及び税収等の問題による影響が無視できないほど大規模なものであると言える。一方、遊技場の営業はまた一般大衆自身の権利や利益とも深くかかわっている。このため、遊技場営業の健全化の促進を通じて、公共安全の保護に資するため、本条例を制定する」としています。この点から、遊技場営業の健全化の促進により、社会の安寧や善良の風俗等の公益を保護しようとするのがゲームセンター管理条例の立法精神であることが分かります。

(三)さらに、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条はそれぞれ、「ゲームセンターを経営する者は、次の事項を遵守しなければならない。……六、賭博、風俗壊乱その他犯罪行為に関与してはならない。」、「第17条第1項第6号の規定に違反したときは、直轄市、県(市)主管庁は、その営業停止を命じなければならず、かつ判決が確定するまで、その会社又は商店の名称及び代表者又は責任者の変更登記申請の受理を停止しなければならない。裁判所で有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する。」と定めており、その立法趣旨は、ゲームセンターを経営する業者は法律の規定に従って業務を営むよう規律することにあります。また、すでに施行されている行政罰法の第7条第2項は、「法人、代表者又は管理者を設けている法人格なき団体、中央又は地方機関その他の組織が行政法上の義務に違反した場合において、その代表者、管理者その他代表権のある者又は実際に行為をした職員、被用者又は従業者の故意・過失については、当該組織の故意・過失と推定する。」と定めており、法人等組織は実際に行為をしたその内部の職員、被用者又は従業者の故意・過失について、故意・過失推定責任を負います。それら組織内の、実際に行為をした職員、被用者又は従業者が、法人等の組織のために行政手続に関与するときは、法人等の組織の使用人又は代理人の地位でこれを行います。この際、法人等の組織は彼らの故意・過失について、故意・過失推定責任を負います(最高行政裁判所2011年度8月第2回法廷長裁判官合同会議決議の趣旨参照)。この点から、ゲームセンターの責任者として登記された者が、実際の違法行為に関与していなくとも、その名義で登記されたゲームセンターにおいて実際に行為をした職員、被用者又は従業者が賭博等の犯罪に関与した場合には、当該ゲームセンターはやはり故意・過失推定責任を負うことになります。そして地方の主管庁は、法の定めるところによりその営業停止を命じなければならず、裁判所の判決が確定したときは、そのゲームセンターを経営する業者の会社登記又は商業登記及び営業種類別許可証を廃止することになります。こうすることによりはじめて社会の安寧、善良の風俗及び国民の心身の健康を保護しようとする行政規制の目的を達成できると言えます。さもなければ、ゲームセンターで実際に行為をした職員、被用者又は従業者が当該営業場所において違法に賭博等の犯罪行為をしたことについて、上記の規定に従って当該ゲームセンターに営業停止を命じることができないことになり、ゲームセンターの実際の責任者がその職員、被用者又は従業者に対して当該営業場所における違法な賭博等の犯罪行為を唆したり放任したりしても、法令の規制を受けず、法的責任から逃れられるという不合理な状態が生じてしまい、立法の本意から逸脱することになります。

(四)なお、上記の最高行政裁判所2019年裁字第639号決定の趣旨、及びゲームセンター管理条例第17条が「管理」の章に定められていることからわかるように、同条はゲームセンターが賭博行為に関与した否かを管理することに重きがあって、賭博行為の疑いがある従業員の数や、責任者が実際に賭博行為に関与したか否かは問われません。


六、以上を総合すると、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及第31条の規定は、賭博行為に関与した者が責任者本人であることを要件とせず、当該責任者の名義で登記されたゲームセンターにおいて賭博等の犯罪行為への関与があったときは、地方主管庁は法の定めるところにより営業停止を命じることができ、また、有罪判決確定後、当該ゲームセンターの営業種類級許可証及び商業登記を廃止する等の処分を行うことができます。


肆、結び

一、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条の規定は、ゲームセンター業による賭博行為への関与を要件とし、地方主管庁が具体的な証拠に基づいて、ゲームセンターにおいて賭博に関与する行為があったと認定したときは、当該条例の規定により当該ゲームセンターに対して営業停止を命じることができ、また、有罪判決確定後、当該ゲームセンターの営業種類別許可証及び商業登記を廃止する等の処分を行うことができ、検察官による起訴若しくは裁判所の判決があったか否か、又は当該ゲームセンターの責任者が賭博罪に関与したか否かは、当該規定の要件ではありません。

二、なお、地方主管庁が関係案件を取り扱うにあたっては、経済部2020年05月18日経商字第10902412710号書簡に示されている次の趣旨を参照すべきではないかと考えます。即ち、完全な行政調査手続を履践するため、当事者に意見陳述をさせるほか、送致元の警察機関に対して犯罪に関する明確な証拠資料の提供を要請することが考えられ、また、職権で関係証拠資料を審査して営業停止処分の根拠とするということです。こういった方法により、行政爭訟の発生を減少させることが考えられます。


 

筆者

 

張祐誠


壱、はじめに

一、警察があるゲームセンターで捜索を行った際、その現場で当該ゲームセンターの従業員が来客と賭博行為をしているところを発見し、ポイントカードやゲーム機器などの賭博用具を差し押さえました。警察は取調完了後、当該ゲームセンターにおいて賭博用ゲーム機器が設置され、賭博に関与する行為があったことを地方主管庁に報告しました。これを受けて地方主管庁は調査を行い、当該ゲームセンターにおいて確かに賭博行為があったものと認定して、ゲームセンター管理条例(原文:「電子遊戯場業管理条例」)第17条第1項第6号(「ゲームセンターを経営する者は、次の事項を遵守しなければならない。…六、賭博、風俗壊乱その他犯罪に関与する行為があってはならない。」)及び第31条(「第十七条第一項第六号の規定に違反した者に対しては、直轄市、県(市)主管庁は営業停止を命じなければならず、かつ判決が確定するまで、その会社又は商店の名称及び代表者又は責任者の変更登記申請の受理を一時停止しなければならない。裁判所において有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する。」)等の規定により、営業停止を命じる行政処分を行いました。当該ゲームセンターの責任者は地方主管庁の行った前記の営業停止処分に不服があり、訴願及び訴訟を提起しました。

二、本件に関係する条文はゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条であり、主な争点は、「営業停止処分は起訴又は判決を経ることが要件であるか」及び「営業停止処分は責任者による賭博行為への関与が要件であるか」にあります。そこで、これらの点に関連する実務上の見解を整理し、本件に関係する条文と主要な争点につき、次の通り分析します。


貳、営業停止処分は、起訴又は判決を経ることが要件であるか

一、最高行政裁判所2012年度裁字第2140号民事決定は、「営業停止を命じる処分は、違法行為の再犯を防止し、行政秩序を規律する目的を図るためのものであり、かつ賭博行為によって得られる不正な利益は莫大であると同時に社会の安寧に影響を及ぼすことから、地方主管庁が関連の証拠に基づき、論理則及び経験則により賭博に関与した事実が具体的で明確であると認めるに足りるとしたうえで、ゲームセンター管理条例第17条第l項第6号及び第31条の規定により、その権限・責任に基づいて判断を行い、原処分をもって業者に対し裁判所の判決が確定する時まで直ちに営業を停止するよう命じたことは、違法であるとは認め難い。また、業者がゲームセンターを経営するなかで賭博の犯罪行為に関与したことは客観的に明白であると認めるに足りるため、行政手続法第103条第5号の規定により、行政機関が処分を受ける業者に意見陳述の機会を与えないで処分を決定したことは、行政手続法の規定に反するとは認め難い。」としています。

二、次に、最高行政裁判所2013年度判字第819号民事判決は、「地方主管庁は、ゲームセンターが賭博等の犯罪行為に関与したことを調査により発見したときは、ゲームセンター管理条例第31条前段の規定により営業停止を命じるべきであるため、もとより刑事上の有罪判決の確定を要件としない。しかしながら、地方主管庁は行政調査手続により十分な証拠を把握して、ゲームセンターの代表者や被用者等において前記の犯罪事実があるのを確認したことを前提としなければならず、単に検察官の起訴状においてそれら犯罪の疑いがあるということのみをもって、直ちに前記営業停止の要件に該当するものと認めてはならない。」としています。

三、このように、ゲームセンター管理条例第31条の規定により、地方主管庁は、業者が同条例第17条第1項第6号の規定に違反して賭博行為に関与したか否かについて、関連の証拠資料に基づいて、職権で認定を行うことができます。そして具体的な証拠によりゲームセンターにおいて賭博に関与する行為があったと認めるに足りれば、同条例の規定に基づいて処罰することができ、これにより違法行為の再犯防止や規律等の目的が図られます。検察官による起訴又は裁判所の判決があったかどうかとは無関係であると言えます。そして、上記の「具体的な証拠」とは、警察の刑事案件報告書に添付される現場写真、関係者の調書、警察の捜査経過報告、捜索・差押調書、差押リスト等の証拠資料のことを指しています。この点を説明する裁判資料として高雄高等行政裁判所2004年度訴字第299号民事判決が挙げられますが、同判決は、「本件被告については、警察の刑事案件報告書に添付された現場写真、関係者の調書、警察の捜査経過報告、捜索・差押調書、差押リスト等の具体的な証拠に基づいて、職権で原告が経営していたゲームセンターにおいて賭博に関与する行為があったものと認定し、前記条例の規定により直ちに処罰をすることは相当である。被告は原告に嫌疑がかかっている『賭博罪』の刑事責任につき検察官が起訴し、又は裁判所の刑事判決が確定してから、はじめて処分をすることができるとする原告の主張には、誤解があるというべきである。」としています。


参、営業停止処分は、責任者による賭博行為への関与が要件であるか

一、最高行政裁判所2019年度裁字第639号の決定は、「ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条後段の事後的規制は、賭博罪等の犯罪行為に関与し、又は裁判所で有罪判決が確定した者が責任者本人であることを要件としてはいない。責任者として登記されている者が、賭博等の犯罪行為に実際に関与していなくとも、その名義で登記されているゲームセンターが賭博等の犯罪行為に関与したと認めるに足りる具体的な証拠があれば、主管庁はやはりそのゲームセンターの営業種類別許可証及び商業登記を廃止しなければならない。この点からして、これらの罰則規定における処罰対象者は責任者に限られ、責任者による違法行為があってはじめて適用があり、従業員にまで及ぶものと解すべきではないとする上告人の主張は、明らかに誤解があるというべきである。」としています。

二、次に、最高行政裁判所2011年度判字第1743号判決は、「管理条例第31条第1項後段における、『裁判所で有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する』との規定、司法院釈字第646号解釈理由書及び管理条例の立法趣旨によれば、次のことは明らかである。即ち、管理条例第31条は、主管庁は責任者に営業停止を命じ、かつ判決が確定するまで、その会社又は商店の名称及び代表者又は責任者の変更登記申請の受理を停止しなければならず、裁判所で有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止すべきことを明確に定めており、賭博罪等の犯罪行為に関与し、又は裁判所で有罪判決が確定した者が責任者本人であることを要件としてはいない。責任者として登記された者が実際に賭博等の犯罪行為に関与していなかったとしても、その名義で登記されているゲームセンターが賭博等の犯罪行為に関与したと認めるに足りれば、主管庁はやはりその営業停止を命じなければならない。このように解することによってはじめて、管理条例第17条によるゲームセンターに対する事後的規制を徹底できるものというべきである。また、管理条例第31条における『営業停止を命じる』規定は、ゲームセンター営業開始後の違法行為に対して講じる事後的規制措置であり(当裁判所2009年4月第1回法廷長裁判官合同会議における甲説の理由参照)、現行の違法行為を排除し、かつ将来における違法行為の再発を防止するものであって、その性質からすれば、行政法上の義務に違反した過去の行為に対する非難や責任追及の処罰ではないため、行政罰法上の故意又は過失を責任要件とはせず、責任者として登記された者がそのゲームセンターにおいて発生した賭博罪等の犯罪行為について故意又は過失があったか否かにかかわらず、均しく営業停止を命じなければならない。以上のことはすべて原審で詳細に論述されており、相当である。」としています。

三、また、最高行政裁判所2020年度上字第904号判決は、「係争の管理条例における規制対象者はゲームセンターであり、当該条例第31条の、『営業停止を命じる』、『そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する』とする定めは、ゲームセンターの営業開始後の違法行為に対する事後的規制であり、現在の違法状態を除去し、かつ将来の違法行為の再発を防止する規制的不利益処分であって、行政法上の義務に違反した過去の行為に対して非難する行政罰ではないため、被処分者の違法性と有責性を要件としない。営業種類別許可証に登記された責任者は、会社の代表者であるか商店の責任者であるかを問わず、ゲームセンターを経営する地位と管理統制力に基づき、現在の違法状態を排除し、かつ将来の違法行為の再発を防止する義務を負わなければならず、責任者本人が賭博、風俗壊乱等の違法行為に関与したか裁判所で有罪判決が確定したかを要件としないし、責任者の指揮監督において故意・過失があったか否かとは無関係である。このことから、ゲームセンターが係争の管理条例第17条第1項第6号に定める賭博、風俗壊乱等の犯罪行為に関与したときは、主管庁はその責任者に営業停止を命じなければならず、裁判所の判決で有罪となった場合には、その営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止しなければならない。」としています。

四、従って、ゲームセンターにおいて賭博行為への関与があったときは、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条の規定の適用があることから、地方主管庁はこれにより営業停止、営業種類別許可証の廃止及び商業登記の廃止等の処分を行うことができ、責任者が実際に関与したか、又は故意・過失があったか否かは問われません。言い換えれば、賭博行為に関与した者が責任者ではなく、関係従業者又は従業員であったとしても、やはりゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条の規定が適用されます。

五、さらに、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条に定める規制措置は、法律の文理、立法目的、体系的解釈のいずれから見ても、賭博罪等の犯罪行為に関与した者が責任者本人であることを要件としないというべきであると考えます。そこで、この点について次の通り説明します。


(一)ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号が明文で定める「ゲームセンターを経営する者」として遵守すべき事項には、「賭博の犯罪行為に関与してはならない」ことが含まれています。この点から、当該条文の文理解釈として、当該条項の規制対象者がゲームセンターの責任者に限られるわけではないことが明確にわかります。

(二)次に、ゲームセンター管理条例第1条の立法理由は、「現代における個人の主要なレジャー・娯楽手段としての遊技場については、その営業が関係しうる産業構造、経済利益及び税収等の問題による影響が無視できないほど大規模なものであると言える。一方、遊技場の営業はまた一般大衆自身の権利や利益とも深くかかわっている。このため、遊技場営業の健全化の促進を通じて、公共安全の保護に資するため、本条例を制定する」としています。この点から、遊技場営業の健全化の促進により、社会の安寧や善良の風俗等の公益を保護しようとするのがゲームセンター管理条例の立法精神であることが分かります。

(三)さらに、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条はそれぞれ、「ゲームセンターを経営する者は、次の事項を遵守しなければならない。……六、賭博、風俗壊乱その他犯罪行為に関与してはならない。」、「第17条第1項第6号の規定に違反したときは、直轄市、県(市)主管庁は、その営業停止を命じなければならず、かつ判決が確定するまで、その会社又は商店の名称及び代表者又は責任者の変更登記申請の受理を停止しなければならない。裁判所で有罪判決が確定したときは、そのゲームセンターの営業種類別許可証、会社登記若しくは商業登記又は一部の登記事項を廃止する。」と定めており、その立法趣旨は、ゲームセンターを経営する業者は法律の規定に従って業務を営むよう規律することにあります。また、すでに施行されている行政罰法の第7条第2項は、「法人、代表者又は管理者を設けている法人格なき団体、中央又は地方機関その他の組織が行政法上の義務に違反した場合において、その代表者、管理者その他代表権のある者又は実際に行為をした職員、被用者又は従業者の故意・過失については、当該組織の故意・過失と推定する。」と定めており、法人等組織は実際に行為をしたその内部の職員、被用者又は従業者の故意・過失について、故意・過失推定責任を負います。それら組織内の、実際に行為をした職員、被用者又は従業者が、法人等の組織のために行政手続に関与するときは、法人等の組織の使用人又は代理人の地位でこれを行います。この際、法人等の組織は彼らの故意・過失について、故意・過失推定責任を負います(最高行政裁判所2011年度8月第2回法廷長裁判官合同会議決議の趣旨参照)。この点から、ゲームセンターの責任者として登記された者が、実際の違法行為に関与していなくとも、その名義で登記されたゲームセンターにおいて実際に行為をした職員、被用者又は従業者が賭博等の犯罪に関与した場合には、当該ゲームセンターはやはり故意・過失推定責任を負うことになります。そして地方の主管庁は、法の定めるところによりその営業停止を命じなければならず、裁判所の判決が確定したときは、そのゲームセンターを経営する業者の会社登記又は商業登記及び営業種類別許可証を廃止することになります。こうすることによりはじめて社会の安寧、善良の風俗及び国民の心身の健康を保護しようとする行政規制の目的を達成できると言えます。さもなければ、ゲームセンターで実際に行為をした職員、被用者又は従業者が当該営業場所において違法に賭博等の犯罪行為をしたことについて、上記の規定に従って当該ゲームセンターに営業停止を命じることができないことになり、ゲームセンターの実際の責任者がその職員、被用者又は従業者に対して当該営業場所における違法な賭博等の犯罪行為を唆したり放任したりしても、法令の規制を受けず、法的責任から逃れられるという不合理な状態が生じてしまい、立法の本意から逸脱することになります。

(四)なお、上記の最高行政裁判所2019年裁字第639号決定の趣旨、及びゲームセンター管理条例第17条が「管理」の章に定められていることからわかるように、同条はゲームセンターが賭博行為に関与した否かを管理することに重きがあって、賭博行為の疑いがある従業員の数や、責任者が実際に賭博行為に関与したか否かは問われません。


六、以上を総合すると、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及第31条の規定は、賭博行為に関与した者が責任者本人であることを要件とせず、当該責任者の名義で登記されたゲームセンターにおいて賭博等の犯罪行為への関与があったときは、地方主管庁は法の定めるところにより営業停止を命じることができ、また、有罪判決確定後、当該ゲームセンターの営業種類級許可証及び商業登記を廃止する等の処分を行うことができます。


肆、結び

一、ゲームセンター管理条例第17条第1項第6号及び第31条の規定は、ゲームセンター業による賭博行為への関与を要件とし、地方主管庁が具体的な証拠に基づいて、ゲームセンターにおいて賭博に関与する行為があったと認定したときは、当該条例の規定により当該ゲームセンターに対して営業停止を命じることができ、また、有罪判決確定後、当該ゲームセンターの営業種類別許可証及び商業登記を廃止する等の処分を行うことができ、検察官による起訴若しくは裁判所の判決があったか否か、又は当該ゲームセンターの責任者が賭博罪に関与したか否かは、当該規定の要件ではありません。

二、なお、地方主管庁が関係案件を取り扱うにあたっては、経済部2020年05月18日経商字第10902412710号書簡に示されている次の趣旨を参照すべきではないかと考えます。即ち、完全な行政調査手続を履践するため、当事者に意見陳述をさせるほか、送致元の警察機関に対して犯罪に関する明確な証拠資料の提供を要請することが考えられ、また、職権で関係証拠資料を審査して営業停止処分の根拠とするということです。こういった方法により、行政爭訟の発生を減少させることが考えられます。


 

返回 BACK
法律新知電子報 Chien Yeh E-News
ニューズレターをご購読いただいた方には、最新の法律情報をお届けいたします。
訂閱 Subscription
TOP